こんにちは!
「オーストラリアは稼げる!!」
最近本当によく聞く言葉。
でも稼げば稼ぐほど、払わなければいけないものもありますよね。
そうです
税金です(重っ…...)
海外で働き、お金を稼ぐなら、その国の税制に関する知識は必要不可欠。
今回はオーストラリアの税制、タックスリターン(確定申告)の仕組みと流れ、更には節税案についても解説してみたいと思います。
オーストラリアの税制概要
オーストラリアの税制は、オーストラリア連邦政府と州政府によって徴収される直接税と間接税の混合体で、それ以外に地方政府も税金や課徴金を課しています。
連邦政府:オーストラリア全体を統括する政府で、簡単に言うと「国」のことです。
州政府:オーストラリアは6つの州と、2つの主要な準州で構成されています。(下記参照)
地方政府:州政府の下で設定され、特定の市町村や郡を担当します。日本における「地方自治体」にあたります。
州
- ニューサウスウェールズ(New South Wales, NSW)州都:シドニー
- ビクトリア(Victoria, VIC)州都:メルボルン
- クイーンズランド(Queensland, QLD)州都:ブリスベン
- 西オーストラリア(Western Australia, WA)州都:パース
- 南オーストラリア(South Australia, SA)州都:アデレード
- タスマニア(Tasmania, TAS)州都:ホバート
準州
- オーストラリア首都特別地域(Australian Capital Territory, ACT)州都:キャンベラ
- ノーザンテリトリー(Northern Territory, NT)州都:ダーウィン
主な税金は以下の通り。
1. 所得税
個人 (税法上のオーストラリア居住者):累進税率が適用され、収入が多いほど税率が高くなります。
Taxable income | Tax on this income |
---|---|
0 – $18,200 | Nil |
$18,201 – $45,000 | 19c for each $1 over $18,200 |
$45,001 – $120,000 | $5,092 plus 32.5c for each $1 over $45,000 |
$120,001 – $180,000 | $29,467 plus 37c for each $1 over $120,000 |
$180,001 and over | $51,667 plus 45c for each $1 over $180,000 |
企業:企業には一律の税率が適用され、ほとんどの企業は30%、特定の基準を満たす小企業は25%です。
Income year | Aggregated turnover threshold | Tax rate for base rate entities under the threshold | Tax rate for all other companies |
---|---|---|---|
2017–18 | $25m | 27.5% | 30.0% |
2018–19 to 2019–20 | $50m | 27.5% | 30.0% |
2020–21 | $50m | 26.0% | 30.0% |
2021–22 and future years | $50m | 25.0% | 30.0% |
多くの人にとって、納める税金の大半となるのが所得税。
これは後で事例と共にもう少し解説します。
2. 商品サービス税(GST: Goods and Services Tax)
オーストラリアで販売または消費されるほとんどの商品、サービス、その他の項目に適用される10%の付加価値税。いわゆる消費税のこと。生鮮食品、医療、教育など、特定の商品やサービスはGSTが免除されます。
3. キャピタルゲイン税(CGT: Capital Gains Tax)
資産(不動産や株式など)の売却から生じる利益に対して課される税金。オーストラリアでのCGTは、特定の資産を購入してから売却するまでの期間に価値が上がった場合、その価値の上昇分に対して課税されます。
4. 給与税
雇用主が支払う総賃金に基づく州の税金。税率は州によって異なります。
5. 財産税
不動産取引に対する印紙税(Stamp Duty)と、一定の価値を超える土地の所有に対する土地税(Land Tax)を含み、どちらも州によって異なります。
6. スーパーアニュエーション税
過去記事でも解説した通り、スーパーアニュエーションとはいわゆる「確定型拠出年金」のことで、自分で管理する年金みたいなものです。
雇用主は従業員(正社員だけではなく、非正規雇用者も条件を満たせば)にスーパーアニュエーションを払う義務があります。
これに掛かる税金は一律15%と、所得税に比べて優遇税率で課税されます。
7. その他の税金
従業員に提供される特定の福利厚生に対する福利厚生税(FBT)、高級車税、輸入関税など。
皆さんも既にご存知かも知れませんが、オーストラリアではタバコやアルコールにかなりの税金が掛かります。
僕は非喫煙者なので逆に嬉しいくらいですが、一般的なタバコ一箱(20本入り)の価格は約$30〜$40(約3,000〜4,000円!)
居住者か非居住者か
オーストラリアの会計年度は日本と違い、7月1日から翌年の6月30日までです。
この1年間の総収入から、控除可能な経費などを差し引いた金額が課税所得。
税金は、この「課税所得」に基づいて課されます。
確認しておきたいのは、税法上の自分の「居住ステータス」
オーストラリア税務局(ATO)は、特定の基準に基づいて、個人がオーストラリアの居住者であるか非居住者であるかを判断します。
永住権保持者やビジネスビザで滞在している人は「居住者」として扱われるでしょうが、ワーホリビザの方は「非居住者」とされることがほとんどのようです。
Most people who come to Australia for a working holiday or to visit are foreign residents for tax purposes.
https://www.ato.gov.au/individuals-and-families/coming-to-australia-or-going-overseas/coming-to-australia/australian-residency-if-you-re-on-a-working-holiday-or-visit
当ブログの読者にはワーホリの方も多くいらっしゃると思うので、下記にワーホリの税率表を掲載しておきます。
Taxable income | Tax on this income |
---|---|
0 – $45,000 | 15c for each $1 |
$45,001 – $120,000 | $6,750 plus 32.5c for each $1 over $45,000 |
$120,001 – $180,000 | $31,125 plus 37c for each $1 over $120,000 |
$180,001 and over | $53,325 plus 45c for each $1 over $180,000 |
居住者には適用される$18,200までの非課税枠が無く、$1から税金が掛かってくることからガッカリしたワーホリの方もいるかもしれません。
ワーホリでも、条件をクリアすれば(税法上の)居住者として認められることはあります。(こちらのATOリンクも参考に)
でもねぇ...
そこは別に気にしなくてもいいんじゃないか、というのが個人的な見解です。
何故そう思うか?
2つのケースを想定して、考えてみましょう。(注:所得税のみで仮定)
Case 1:ワーホリ1年間の課税所得が$18,200だった時
非居住者:$18,200 x 0.15 = $2,730
居住者:$18,200までは非課税($0)
実際はもっと稼ぐケースが大半だと思いますが、ここは分かり易く説明する為にこのケースを考えてみましょう。
上記の通り、その差は $2,730(現在のレートで約26万7000円)
どうでしょうか?
そこそこの差ではありますが、この額の為に居住者として認められる為の様々な制約を受け入れますか?
Case 2:ワーホリ1年間の課税所得が$70,000だった時
非居住者:"$45,000 x 0.15 = $6,750" "$25,000 x 0.325 = $8125" 6,750 + 8125 = $14,875
居住者:"$26,800 x 0.19 = $5,092" "$25,000 x 0.325 = $8,125" 5,092 + 8,125 = $13,217
その差は$1,658(現在のレートで約16万2000円)
Case 1より約10万円も差が縮まりましたね。
居住者も非居住者も、$45,000を超える額には同じ税率が掛かります。
ですのでCase 1のように最大に差が開いたとしても$2,730、最小だと$1,658になります。
せっかくワーホリという可能性に満ちた1年間を過ごすのに、こんな少額の差を憂慮して自分の行動の幅を狭めるなんて勿体無い!
僕はそう思います。
いかがでしたか?
今回はざっとオーストラリアの税制概要と、税率について解説しました。
後編は実際のタックスリターン(確定申告)の流れと、節税のポイントなども解説したいと思います。
ではまた!
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